「1984年」(ジョージ・オーウェル)

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)

ハルキ経由ではなく、オースターのあとがき経由で。(でもハヤカワは早く増刷した方がいいと思います。←大きなお世話。)
作中に何度も出てくるスローガン「戦争は平和である 自由は屈従である 無知は力である」。
きっと作者の人は、戦争は平和ではないし自由は屈従ではないし無知は無力だよ、と誰かにこのスローガンを否定して欲しかったんだろうなあと思いました。人間の中身は綺麗なもので出来ていると信じたかったんだろうなあと。だから、あとがきの新聞売りの人の言葉にどれだけ胸を痛めたか想像に難くないです。あああ、切ない。
だけど、1984年よりも未来に住む私も信じたい。戦争は平和ではないし、自由は屈従ではないし、無知は無力だと。
でも。あの世界で、ご飯と住むところが満ち足りていたらどうなるんだろうと思うとちょっと怖くなりました。自由と衣食住は天秤にかけたらどっちが重いんだろう。礼節は負けるのに。自由は勝てるのだろうか。
難しいですね。ご飯が無いのは嫌だもんなあ。