「それでも夜は明ける」

1841年に誘拐されて売り飛ばされて12年間奴隷になっていた自由黒人の人の実話を元にした作品だそうです。
ネタとか関係ないと思いますが、とりあえずネタバレです。



この時代、国内で誘拐されて、南部に奴隷として売られる人が結構多かったそうです。
辛い。ものすご辛い映画でした。
タイトルがなんか違うなーと思ったのは、このタイトルだとなんとなく、努力とかで切り開いたとか我慢して辛い時期を乗り越えたとかそういう雰囲気に思えるからです。
違った。そんなの関係なかった。
この人が生還できたのはひとえに幸運だったからに他ならない。努力とか我慢とかそんなものでは生きて戻れない、描かれていたのはそんな世界でした。
辛い。怖い。
一番怖かったのは、主人公が吊るされているのに周りの人達が全く普通に過ごしているシーンですかね。(お水を飲ませてくれた女の人はいましたが。)子どもとかもきゃっきゃ遊んでるの。怖い。
あそこのご主人様(カンバーバッチさん)が戻るまで彼が吊るされていたのは、周りは奴隷に優しいご主人様に不満を抱いていたからなのですね。ご主人様もその不満を抑えるほどの力は無かったと。
出てくる人がことごとく不安定で、とにかく怖くて仕方なかったです。
観ている私が私の中の価値観であの人達の考え方はおかしいと言うのは簡単ですけど、多分それは何の解決にもならない。私があの中でどこに立っているのか、いつも考えてないとならないのだな、と思いました。できれば、主人公に親切だった人のようでありたいとは思いますが、それを実現できているだろうか。怖い。
あと、生還した主人公がお家のドアを開けたら、小さかった子ども達がもう大人になってるの、あれも怖かった。私が観てきた主人公の辛い時間が本当に長い長い時間だったことをあれで強烈に実感させられました。
はー。観る前は、バンパイア・ハンターのリンカーンさんが「斧を持てい!」と言いたくなる話なのかなーとか思っていたのですが、だめだあれ、斧では解決できない。



とりあえず、私が主人公の立場だったら、吊られたときに膝を曲げちゃっただろうし、女の子を沼に沈めただろうし、綿花の畑に火を放ったと思う。至極簡単に人間を手放してたと思う。そんな世界でした。
それが実話なんですもん。辛いー。



馬車の馬を見ると辛い気持ちになる。
あと、ミッ○ーが飼っている犬と友達の犬が同じ種類の生き物にしか見えなくて辛いという問題が頭から離れない。
もう寝なさいよ私。