「絡新婦の理」(京極夏彦)

文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)

文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)

これ、一冊の本にするのは無茶だと思います。一体何センチあるんでしょうか?(後で計ってみます。)
ええと、内容は「京極堂がんばる!」という感じでした。
今回の憑き物落としに現れるシーンで、初めて京極堂をかっこいーい!と思いました。
榎さんも相変わらずでよかったですが、今回は京極堂が主役っぽかったです。(や、主役なんだけど、多分。)


以下は内容に触れる感想。
うーん。後味が悪いです。
普段は蓋をしてる、もやもやとした気分が触発される感じ。
ええと、どうせすぐ虫歯になるんだったら歯を全部抜いて総入れ歯にしちゃえばいいんじゃないか!と思う気分、とでもいいましょうか。(←わかりにくい。)


なんかちょっと、碧は死んじゃったので許されましたみたいな感じが漂ってるのが納得いかないのです。
京極堂にかかると、碧のやらかしたことが「あちゃー…」「あらららら」と、いう感じに収まってしまって、所詮子供のやらかしちゃったことですよ、みたいな印象になってしまうのはすごいと思います。
でもちょっと待て。
残された人達はそれはもうかなりなことになってる気がするのです。(一部は自業自得な気もしますけどね。ちょっとね。)一人だけ死んで許されるってそれはないだろう、と納得いかない気分になるのです。(←鬼。)


あと、目玉を突き刺す人。
大体、ターゲットが目というのが卑怯です。何度気絶しそうになったことか。もう最悪です。
そう、最悪なのです。ところが最後には、この人もかわいそうな人だ、みたいな雰囲気になってるのが嫌でねえ!
殺された人の方がよっぽどかわいそうだっての。
アレルギー持ってるからって人殺して許されると思うなよ!理由になるかそんなん!(落ち着けよ私。)


この話は、責任はもれなく取らせろよ!とか、隔離しちゃえよ!とか、そういう極論(と分かってはいる)に走る気持ちを無理矢理浮上させられちゃって、かなりギスギスした気分になりました。
話はすごいと思いますが、純粋に楽しめなかったのです。
つらいなー。