ななちゃん


我が家には『なな』というお婆ちゃん猫がいて、随分前から重い病気を患っている。
ななは、背中が三毛ぶち模様でおなかは真っ白。むくむくしていて一見元気そうだが、よく見ると毛がばさばさで、やはり病気なのだなあと思い知らされる。
今日は法事があって人はみんな本邸に来ており、ななは離れで一人ぼっちだ。
朝から雨が降っている。秋の雨は寒い。
ななはみんなのいるところに来たかったのだろうか、よろよろと離れと本邸の間の庭を歩いてくる。具合が悪いのか、雨の中で立ち止まるとそこで動かなくなった。
私は、ずぶぬれになったなながいるのに気付き、あわてて庭に飛び下りる。
抱き上げるとななはぐったりしていて一瞬、死んでしまったのかと思ったが、辛うじて息はあるようだ。
暖かいところに寝かせタオルをかけるが、死期が近いのが一目で分かる。
ただ見守ることしかできずにいるうちに、ついにななが動かなくなってしまう。
息がつまり、涙が出てきた。
だが、よく見ると目が動いているではないか。
まだ生きている!
喜びに胸が躍り、安堵の涙が流れる。
しかし、ななは目以外を動かすこともできず、やはりもう最期なのは間違いないのだ、と私は覚悟するしかなかった。







という夢を見て目が覚めた後、本物のななちゃんは一年近くも前にいなくなっていることを思い出して、またちょっと泣いてしまいました。
そんな夢オチ。


本物のななちゃんはこげ茶色と灰色のトラ模様です。(キジトラ?)おなかは真っ白です。
まだ時々思い出してしまうのですよ、ななちゃんのことを。
気持ちが弱ってるのかもしれません。冬ですものねえ。