「魔王」(伊坂幸太郎)

魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)

何と言ったらよいのやらよく分からない話ですが、割と好きです、こういう話。
考えろ。
と言われた気持ちになりますね。実際そう言われてるんだし。
兄さんが犬養に言わせようとしたセリフを、5年後に犬養が自分で言うところがすごい。実はやっぱり犬養もすごい人なんじゃないか。ってあのセリフ、自分で言ってるんですよね?兄さんが言わせてるんじゃないよね?
私は騙すよりは騙される方がいいし、殺すよりは殺される方がましだと思う。人間はそうあるべきだとかいう綺麗事ではなくて、多分自分が騙したとか殺したとかいう後ろめたさに耐えられない気がするのです。意外と弱いと思います私は。でも痛いとか辛いとか苦しいのは嫌だなあ。首を絞められながら核ミサイルの発射ボタンを押したら助けてやるって言われたら押しちゃうのかもしれない。それも嫌だなあ。
「デッド・ゾーン」を思い出しました。あれも切ない。


ごきげんようおひさしぶり」がよかった。でも「せせらぎ」とか呼んでも姿を想像したらブルーになります。わあん。