「黒と茶の幻想(上)、(下)」(恩田陸)

黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)

黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)

黒と茶の幻想 (下) (講談社文庫)

黒と茶の幻想 (下) (講談社文庫)

屋久島に行ってみたくなりました。
平気な顔をして嘘をつける人を私は大嫌いなはずなんだけど、蒔生ちゃんのことは嫌いになれなかった。不思議だ。節子さんのおかげかもしれない。節子さんを心の師匠と呼びたい。
大人な話ですね。みんな軸がぶれてなくて、しっかりと地面に立ってるところが素敵です。私も同世代のはずなのに、この違いは何だ。
蒔生ちゃんが『俺は人でなしだ。この程度の嘘がつけないようでどうする。』というところに正直シビれました。でも友達になるなら彰彦がいいな。
蒔生ちゃんは、自分を理解しようとしないでほしいと言っていましたが、それとはちょっと違いますが、私にも誰にも私の中身を見せたくない、という気持ちが確かにあります。ずっとずっと一人で生きるのかと、時々思ったりする所以はこのへんにあるのでしょう。それは強がりとかプライドとかではなくて、怖がり、と呼ぶのが一番近い気がします。だって、本当の気持ちをそのままなんて怖くて話せないよ?あ、でももう自分の中で決まってしまったことや終ってしまったことなら話せるな。
とか、そんなことをぼんやり思って、ちょっと怖くなったりもしました。話しても話さなくても怖いとは難儀なことだなあと思いましたよ。
そんな感じの物語でした。(どんなだよ。)